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WQEM

(Waseda Q:Kyudai Endoscope
                assist Manipulator)
  1. 腸管短縮
  2. 試作機
2.1  WQEM-1
2.2  WQEM-2
  1. 今後の展望


1. 腸管短縮


  ロボットの開発に先だって大腸内視鏡の挿入支援方法の選定に必要な知見を得るために,医師の内視鏡挿入手技を観察しました.医師に大腸トレーニングモデルに内視鏡を挿入して頂いた際の大腸モデルの形状を以下に示します.
  内視鏡の挿入前と後で比較すると,挿入後はたわんでいた大腸が直線化されていることがわかりました.(この大腸を短縮・直線化する手技を腸管短縮と呼ぶことにします.)さらに,内視鏡の挿入に時間を要する人はこの腸管短縮に時間がかかるということがわかりました.




  そこでこの腸管短縮をロボットにより行うことを考案しました.下図のようにロボットが動作することで,腸壁を手繰り寄せて腸管短縮を実現するというものです.



2. 試作機

2.1. WQEM-1(Waseda Q:Kyudai Endoscope assist Manipulator No.1)


  上記の手繰り寄せ動作を行うロボットの試作機1号として,WQEM-1を開発しました.WQEM-1の先端部は既存の内視鏡に取り付けることが可能で,体外に設置したモータによりワイヤを介して駆動されます.
  WQEM-1を用いることで大腸モデルの手繰り寄せが可能であることを確認しました.


Movies

  1. WQEM-1 空転動作
  2. WQEM-1 大腸モデル手繰り寄せ
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2.2. WQEM-2(Waseda Q:Kyudai Endoscope assist Manipulator No.2)


  WQEM-1の手繰り寄せ機構はそのままに,大腸湾曲部で受動的に屈曲可能となる機構を搭載し,さらに手繰り寄せ速度の向上を目指して試作機2号WQEM-2を開発しました.
  マニピュレータ内部に挿入したワイヤの長さを変化させることにより,ワイヤに発生する張力を変え,マニピュレータ部の剛性を変化させることができます(硬度可変機構).マニピュレータの剛性を高めることで手繰り寄せ動作ができる硬直直線状態になり,逆に湾曲部を通過する際は剛性を低くすることで受動的に屈曲が可能な柔軟状態となります.


Movies

  1. WQEM-2 空転動作
  2. WQEM-2 大腸モデル手繰り寄せ
  3. WQEM-2 体外駆動部
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2.3. 評価実験


  はじめにWQEMによる手繰り寄せ速度の計測を行いました.実験方法は直線状に配置した大腸モデルを手繰り寄せ,30[s]で手繰り寄せた大腸モデルの長さを測定するというものです.その結果から算出した手繰り寄せ速度を以下に示します.
  熟練医の挿入手技観測より,手繰り寄せ速度は4[mm/s]以上であることが求められます.WQEM-2の手繰り寄せ速度は約9.8[mm/s]であり,要求仕様を満たしていることが確認できました.


  また,医師にWQEM-2を実装した場合としない場合とで,大腸モデルへの模擬挿入を依頼しました.この際に肛門からS 状結腸下行結腸移行部(SDJ)を通過するまでに要した時間を測定した結果を以下に示します.
  WQEM-2を使用することで平均すると挿入時間がおよそ60[%]短縮されたました.これより,WQEMによる手繰り寄せが有効であると考えています.


3. 今後の展望


  実験に協力頂いた医師から大腸へのダメージが心配であるという意見を頂きました.よって,安全性の高いロボットを開発していくことが今後の大きな課題であります.また,大腸全域での使用が実現できていないことも課題として挙げられます.横行結腸の手繰り寄せを行うためには,柔軟状態でさらに剛性が下がるような硬度可変機構の開発が必要だと考えています.

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