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投影面形状変形型顔ロボット
WD-2
(Waseda-Docomo face robot No.2)


Objective Concept History System Movie Evaluation Thanks






研究目的


human_head


Fig1.人間の頭部

近年,人間との共生や共同作業を目的としたパーソナルロボットが登場し,将来家庭への普及が考えられます.そのようなロボットには,我々人間とコミュニケーションをとる機能が必要になってくると考えられます. では,人間がどのようにコミュニケーションをとっているかについてですが,コミュニケーションにおいて重要なものとして,まず顔があげられると思います. 人間の頭部には視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚という五感のすべてが存在しており,外部環境に対してすぐれた入力機能を有しています. また,人間の顔には,額が大きい,眼が離れているなど,輪郭や眼・鼻・口等の形状・配置に特徴があり,その異なった構造をした顔面のうえで,表情を表出しています. つまり,人間の顔には「顔の形状」と「顔の表情」の2つの出力機能があり,「顔の形状」によって個人の特定,「表情」によって心理状態の特定がおこなわれ,そこで初めて個人の顔が表現されております. そこで本研究では,1台で多様な顔の特徴量を表出可能なロボットを開発することができれば,ロボットの外観自身に個性を持たせることができるのではないか,またその機能と情動表出機能を組み合わせることで,従来のロボットよりも高度なコミュニケーション能力が実現できるのではないか.また,現在の電話や,2次元画像などでは表現できない存在感をも伝えることができるのではないかと考え, 個人の特徴量を表出可能な顔ロボットの開発を目的としております.

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コンセプト


 

顔を変形させる上でのコンセプトについては下のように  顔上に目,鼻といった顔の特徴を表す点を設定します.その点を特定の個人の形状にあうように動かすことにより,  さまざまな顔の形状や,大きさなどを表現します.


   
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Fig2.顔面変形のコンセプト
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研究の歴史
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システム



ロボットの詳細



   
特徴点 接合部材 顔マスク



Fig5.特徴点配置図




Fig6.接合部材

Fig7.顔マスク
機構により駆動する特徴点は,目,鼻,輪郭など顔の特徴を表すと思われる場所に27点配置しました. 接合部材は,平均頭部模型より各部位を切り出して作成しました. 顔マスクは,伸縮性,耐久性にすぐれたセプトンという素材でできています.このやわらかいマスクを機構により自由に変形させます.またマスクには酸化チタンを混合しており,光を反射するためスクリーンとしての役割を果たします.
顔内部駆動機構 輪郭駆動機構

Fig8.顔内部駆動機構



Fig9.輪郭駆動機構
顔内部駆動機構は,モーターとすべりねじにより構成されており,x,y,zの3軸方向に任意の量だけ先端の顔形状部材を駆動することができます.輪郭駆動機構にはスライダークランク機構を採用しており,先端の輪郭部材が顔の輪郭形状を表すように10個配置されます.顔の大きさを変化させる方向に1自由度で自由に駆動することができます.

ロボット全体図



2005年に開発した新顔ロボットWD−2は下のようになっています。柔らかい素材でできた顔のマスク上の特徴点を,後ろにとりつけた顔内部駆動機構(3軸駆動ユニット),輪郭駆動機構により全56自由度でそれぞれx,y,z軸方向に任意の量だけ駆動し,様々な人の顔形状を表現します. 特徴点の数は顔内部17点、輪郭10点の計17点であり、顔内部の点は3自由度(または2自由度)、輪郭は顔の大きさを変えるための1自由度で任意の位置に駆動されます。

Fig10.WD-2全体図



システム構成図



 

ロボットシステムの構成は下のようになっています.ロボットによって表出された顔形状にその人の2次元映像を投射することによって顔を3次元的に表出することができます.機構は1自由度毎にパソコンで制御されています.以下ロボットの詳細について説明します.  

 

Fig11.システム構成図
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実験映像


画像をクリックすると映像をみることができます.


WD-0 WD-0
本人の映像を投射しない状態で,2種類の顔形状を連続して表出している映像です.顔マスク上の特徴点が移動して,顔形状が変わっていく様子がわかります. 4人の顔形状を表出し,その人の2次元映像をロボットに投射したときの映像です.斜め45度,横からの映像をみると2次元映像だけでは表現できない,その人の存在感も表出できていることがわかります.    2次元映像の顔の変わり目に,ロボットが変形してその人の顔形状を表出しているのがみてとれます.
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評価実験


 

本人の顔形状と,WD−2によってその人を表現したときのロボットの顔形状を測定して比較しました.青い部分が誤差の小さな部分,赤くなるにしたがって誤差が大きい部分になっています.     結果をみると,輪郭の一部をのぞいてほぼある個人の顔形状をロボットで表現できています.顔形状全体の平均誤差を測定したところ,3.5mmという結果がでました.  

 

Fig12.評価実験結果
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謝辞


研究に協力して頂いた,(株)NTTドコモの皆様に感謝致します.3DCADソフトウェアをご提供して頂いたソリッドワークス・ジャパン(株),セプトン試験片を提供して頂いた(株)クラレに感謝致します.
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