オーラル班 WAO-2 (Waseda Asahi Oral-Rehabilitation Robot No.2 |
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WAO-2は、オーラルリハビリテーションロボットの実用化モデルとして製作されたものです。 WAO-1Rにおいて確立されたマッサージ軌道を出力するマニピュレータの自由度数の再検討、および遺伝的アルゴリズムを用いた 最適化設計を行いました。また、マッサージを受ける患者の姿勢が仰臥位、座位にも対応できる設計になりました。 これにより、小型化に成功し、幅広い医療現場での活躍が期待されます。
自由度数の削減
WAO-1Rでは、2本のマニピュレータはそれぞれ6自由度を有しておりましたが、マニピュレータ先端の姿勢の自由度が動きが少なく、
実際のマッサージ効果には影響しない可能性がありました。そこで、マニピュレータ先端の姿勢の自由度を
固定させた場合と変化させた場合でマッサージを、健常者6人に対し行いました。VASを用いたアンケートの結果、両者に有意差が見られませんでした。
また、共同研究をさせていただいている医師の方々から、姿勢の自由度の必要性がないとの意見をいただいたので、WAO-2のマニピュレータ自由度数は
片腕3にすることにしました。今回設計した自由度配置図を以下に示す。
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Fig.1 WAO-1R仕様 |
今回は回転系の自由度を配置するため、以下のような問題点が存在します。
そこで以下のような評価関数を定め、この値が最小になるようなL1,L2を遺伝的アルゴリズムを用いて求めました。
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Fig.2 WAO-2 自由度配置 |
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Fig.3 遺伝的アルゴリズムフローチャート |
探索の結果、L1=137[mm]、L2=166[mm]に決定しました。
概観と詳細以下に完成したWAO-2の概観と詳細仕様を示します。
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Fig.4 WAO-2概観 | Fig.5 WAO-1R仕様 |
ロボットの制御とマッサージ軌道の生成,また,マッサージポイントの同定について の詳細はこちらをご覧下さい。
マッサージ動画咬筋マッサージ MPEG 11.5 MB |
側頭筋マッサージ MPEG 10.5 MB |
耳下腺マッサージ MPEG 10.2 MB |
WAO-2(患者姿勢:座位,仰臥位)とWAO-1R(患者姿勢:仰臥位)を用いて健常者7名に対して4分間咬筋のマッサージを行いました.
評価としてVAS(Visual Analog Scale)を用いて,快感,口のあけやすさ,暖かさをそれぞれ評価してもらいました.
その結果を示します.
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Fig.6 実験結果 |
ご覧のように,WAO-1Rのマッサージ効果と,自由度の変更,削減を行ったWAO-2のマッサージの効果には,有意な差は見られませんでした. 今後,実施回数を増やすとともに,実際の患者にマッサージを行うことで,更なる評価を行く予定です.