超音波検査 シミュレータ

概要


 超音波検査は,被ばくの危険性がない非侵襲的な検査であることや様々な部位に対して任意の角度から画像を取得できることなどの利点があり,多くの臨床領域で利用されています.超音波検査は検査者の能力に依存し習得することが難しいにもかかわらず,十分な訓練を行えていないことが問題となっています.超音波診断装置や訓練用の人体モデルであるファントムは非常に高価であり,学生が使用できる時間も限られているため,在学中の訓練はほとんど行えていない現状です.

 この問題を解消するために,私たちはより実践的な超音波検査の訓練を行えるシミュレータの開発を行っています.このシミュレータでは,独自に製作したプローブ型コントローラを動かし,その動きに伴ってモニタ画面上に検査位置を示すボディマーカーを表示します.ボディマーカーの位置に対応する超音波画像をリアルタイムで表示することで実際の超音波診断を再現できるようにします.

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図1 超音波検査シミュレータ 外観

機体の説明


 コントローラの操作に対応してリアルタイムで画面表示をするためにプローブの自己位置推定および姿勢推定が必要となります.本機体では位置をロータリーエンコーダ,姿勢をIMUにて取得しています.車輪にはオムニホイールを用いて任意の方向に移動を可能にしているほか,磁石式ボールジョイントにより腹部の超音波検査時に必要な角度へ傾けることが可能です. 帝京大学医学部の医師・検査技師の方々に印象評価実験にご協力いただき,プローブ型コントローラに関して高評価をいただきました.

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図2 プローブ型コントローラ 構造

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図3 超音波検査シミュレータ ソフトウェア構成

動作


関連文献


山田あかり,菅宮友莉奈,桃井啓伍,高西淳夫:"プローブ操作に対応して検査位置表示を行う初学者向け超音波検査シミュレータの設計・製作―自己位置・姿勢推定を用いたプローブ操作の再現―",第40回日本ロボット学会学術講演会予稿集,4J2-02,2022.