高西研究室では,人の心身のメカニズムを追及し,人間とロボットの共生を目指してヒューマノイドロボットの研究開発を行っています.
その中で人間と情緒あるいは感性レベルでの交流ができることは,ヒューマノイドロボットにおける重要な機能のひとつであると考えています.
そこで私たちは音楽を用いた感性レベルでの交流の実現を目標とし,これまで人間形フルート演奏ロボットの開発・研究を行ってきました.
これまでの研究・開発ではロボットの演奏音を向上させる研究だけではなく,以下のような人間とロボットのインタラクションに関する研究も行ってきました.
・プロフルーティストとの共演を目標とした,センサによる共演者の情報を検知し,
ロボット演奏時のパラメータを変更させ演奏表現力を向上させるシステム
・教育支援を目的とした隠れマルコフ・モデルに基づくメロディーの識別システム
・プロフルーティストと初心者の演奏を比較して評価を行うシステム
・ViolaとJonesのアルゴリズムに基づいた顔追従システム
ロボットと人間が相互に働きかけるところを目指すためにはロボット側が人間の演奏音を含めた情報を認識する必要があります.
しかし,人間の演奏には感情を含むさまざまな要因が影響してくるため,演奏家のモデルを正確に認識することは難しいと言えます.
一方ロボットの場合を考えますと,ロボットは人間とは異なり,安定した演奏モデルを持つことができます.
そこで私たちは人間をロボットに置き換え,ロボット−ロボット間のインタラクション研究を行うための異種楽器演奏ロボットとして,
人間形サキソフォン演奏ロボットの開発を2008年より開始しました.
今後はこのロボットの演奏技術の向上と,ロボット-ロボット間,人間-ロボットのインタラクション研究について進めていきたいと考えています.