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WF-4R lille2004
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1. 研究目的
2. WF-4Rの各部機構
3. 演奏システム
4. 演奏ムービー
5. 謝辞

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introduction

 高西研究室では,人の心身のメカニズムを追及し,人間とロボットの共生を目指してヒューマノイドロボットの研究開発を行っています.その中で人間と情緒あるいは感性レベルでの交流ができることは,ヒューマノイドロボットにおける重要な機能のひとつであると考えています.そこで私たちはそのような場としての音楽空間に着目し,人間形フルート演奏ロボットの開発を行っています.
 本ロボットは,フルート演奏時における人体各器官の働きを機械モデルで再現することで,人間のフルート演奏のメカニズム,表現力の高い演奏手法,および人間とロボットとの音楽空間におけるインタラクションを工学的視点に立って追求し,音楽を通じて人々に感動を与えることを目的としています.

 人間形フルート演奏ロボットの研究は1990年に開始され,フルート演奏におけるさまざまな器官の働きを模擬した機械ハードウェアの開発と,MIDI伴奏同期システムの構築を行い,これまでにWFシリーズとして4体の人間形フルート演奏ロボットを開発してきました.また,プロフルート奏者の若松久仁光氏をテクニカルアドバイザーに迎え,演奏の表現力向上とロボットの自律性の向上を目指した,フルート吹鳴音の自律探索の研究や,人間を模倣した演奏に関する研究,また人間とロボットのインタラクションに関する研究を行っています.
wfseries
WF-1 WF-2 WF-3RIV WF-3RIX WF-4
   wf1
   (1990)
wf2
  (1992)
wf3RIV
  (1998)
wf3RIX
  (2002)
wf4
  (2003)
 (WF-3RIXの詳細)   (WF-4の詳細)
bar02

mechanism

 2004年に開発した人間形フルート演奏ロボットWF-4R(Waseda Flutist No.4 Refined)は,フルート演奏に必要な人体各器官の機能を再現した各部機構を備えており,全38自由度で構成されています.

(図中の部位名をクリックすると各部機構の説明に移動します)






 口唇部はフルートの吹鳴音に最も影響があります.唇の素材に低弾性のゴムを使い,それを変形させることでフルートに送り込む空気ビーム形状を制御します.また舌によるタンギングは,口腔内部にあるゲル部材をカムによって水平移動させて行っています.
 肺は人間のように左右にわかれており,2つのピストンシリンダで構成されています.空気はピストンを上下させて送り出されます.ピストン部にはシリコンゴムを巻きつけ,機密性と摩擦の低減を実現しました.
                                                   








 首部は,上下ピッチ,ヨー,ロールの4自由度で構成されています.首部はフルートを演奏するために,高精度で広範囲にわたる口唇部の姿勢制御をしなくてはなりませんが,ハーモニックドライブギアを用いてそれを実現しました.
 ヴィブラート機構部により,肺から押し出された空気に変化をつけ,ヴィブラート奏法を行います.アクチュエータとしてヴォイスコイルモータを使用し,2-11[Hz]でヴィブラートをかけることができます.
                                                   






 腕部は上腕4自由度,前腕3自由度の計7自由度で構成されており,口唇部に対してフルートの歌口の位置を高精度に制御することが可能です.
 上腕部は肩部にピッチ軸,ロール軸,ヨー軸,肘部にピッチ軸の計4 自由度の駆動部を,DC モータとハーモニックドライブギアで構成し,高精度な位置決めを可能としました.
 
 前腕部は,手首のヨー軸は前述した上腕部と同様に,DC モータとハーモニックドライブギアによって駆動します.ピッチ軸・ロール軸の機構は,2 本の直動するアクチュエータを用いたパラレルメカニズムとなっています.指の搭載される部分はエンドプレートとアウタージンバルから構成されるジンバル機構となっており,左右のリンクが上下同じ動きをすることで手首のピッチ軸を,上下逆の動きをすることで手首のロール軸を駆動させます.
                                                                                                                 






 指部は1秒間に8回の開閉動作を行う高速な指使いが可能で,トリル奏法を使った楽曲の演奏も可能です.
 MIDI音源部は,ロボットがフルートを演奏するときの伴奏をロボットの下部に備え付けてあるスピーカから鳴らします.伴奏はMIDIデータにより,MIDI音源を使って演奏しています.詳しくは3.演奏システムで紹介します.
                                                   




system

 人間形フルート演奏ロボットWF-4Rは,伴奏用MIDIデータの出力を行うMIDIコントロールパソコンとロボット制御用パソコンにより演奏を行っております.MIDIコントロールパソコンはMIDI音源への伴奏データを出力し,MIDI信号のタイミングクロックに同期してロボット制御パソコンがロボットの制御を行います.ロボット制御パソコンはロボットデータとミュージックデータと呼んでいる2種類のデータを利用して演奏を行います.ミュージックデータとはロボット用の楽譜にあたり,ロボットデータは各音名に対するロボットの制御パラメータが記録されています.

movie


熊蜂の飛行
(mpeg形式/1分40秒/16.6MB)
 リムスキー=コルサコフ作曲の"熊蜂の飛行"の演奏ムービーです.



acknowledgment

 本研究は早稲田大学ヒューマノイド研究所のもとで,岐阜県からの委託であるWABOT-HOUSEプロジェクトにより行われました.ここに感謝の意を表します.

早稲田大学ヒューマノイド研究所
早稲田大学WABOT-HOUSE研究所

Last Update 2004.11.4
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