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Waseda Wheeled Vehicle - No.2 Refined II
(WV-2RII)




このロボットがプロトタイプになった教育用ロボットキットは株式会社JAPAN ROBOTECHから発売中です!

1. 背景    2. 開発目的    3. 概要    4. アプリケーション    5. イベント    6. 旧型機    7. 謝辞


1.背景

  国際教育到達度評価学会の調査(2003年 中学2年生対象)によれば,「強く理科の勉強に楽しさを感じている」学生は,国際平均44%に対して国内平均では19%と少なく,また,「高いレベルで理科の勉強に積極的である」学生は,国際平均57%に対して17%と特に差が顕著となっています.理科離れが指摘されてから久しいですが,将来,この国を担う優秀なエンジニアを育てるためには,まず,理科に対して強く興味を持たせることが重要であるといえます.そのために,学習者である学生の興味を引き出すことができ,なおかつ学習性の高い教材が必要とされています.


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2. 開発目的

  教育訓練用のロボット教材の多くは,ロボットを動かすアルゴリズムや,制御入門,C言語プログラミング入門などの入門者用が多く,高度なプログラミング力,周辺機器の制御,動的システムの制御,リアルタイムな制御,シミュレーション分析などの複数の学問分野にまたがる学際的な基礎知識と,現実的な解決方法を導くためのスキルを習得するような,RT応用技術の基礎から実践応用までをカバーする教育訓練用のロボット教材はありません.
  従来,倒立振子は制御理論の有効性の検証及び制御工学の実験的な好例として幅広く用いられていて,学習テーマとして非常に魅力あるものといえます.本プロジェクトではこのような倒立振子を教材として,幅広い年代の多様な学習用途に対応できるよう,研究開発を行っています.


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3.概要

▽寸法・重量
全高 [mm] 495
重量 [kg] 3.8
▽アクチュエータ
原動機 DCサーボモータ
(RDO-37KE50G9A)
定格出力 [W] 9.2
▽コンピュータ・電装
CPU STM32F103VB 72[MHz]
バッテリ 単3電池(6[V])
RCバッテリ(12[V]以上)
センサ類 ・ジャイロセンサ × 1
・加速度センサ × 1
conversation


汎用制御基盤
  WV-2RIIは共同開発先である株式会社JAPAN ROBOTECHが開発した汎用制御基板を搭載しています.この制御基板は拡張性が高く,使用者は様々な追加アプリケーションを開発することが可能です.



制御構成図

  WV-2RIIの制御には,「本体角度」「本体角速度」「車輪回転角度」「車輪回転角速度」を状態変数とした状態フィードバック制御を用いています.本体角度の計測に加速度センサとジャイロセンサの両方を,本体角速度の計測にジャイロセンサを,車輪回転角度と車輪回転角速度の計測にロータリエンコーダをそれぞれ使用しています.さらに,電流フィードバックによりモータを定電流駆動しています.


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4. アプリケーション

サッカー

▽重量
機構重量 [kg] 1.3
全体重量 [kg] 5.1
▽アクチュエータ
原動機 DCサーボモータ
(RDO-29B50G192A)
▽性能
最大出力荷重 [N] 22
蹴り出し動作の周期 [sec] 3.3
conversation


蹴り出し機構 蹴り出し動作

  WV-2RIIのサッカー用アプリケーションを開発しました.リモコンのボタンを押すと蹴り出し機構がばねにより高速で押し出され,ボールを蹴ることができます.このアプリケーションを搭載したWV-2RIIを使用してサッカー競技を行いました.


蹴り出し機構
MPEG 5.2 MB
サッカー競技
MPEG 5.7 MB


相撲

▽重量
機構重量 [kg] 1.1
全体重量 [kg] 4.8
▽アクチュエータ
原動機 DCサーボモータ
RCサーボモータ
▽性能
張り手アームのストローク [mm] 80
RCサーボモータの可動角 [deg] ±50
モータ定格トルク [Nm] 0.63 (DCサーボモータ)
0.83 (RCサーボモータ)
張り手動作の周期 [sec] 1.1
conversation


張り手アーム アームを繰り出す機構
(参考:http://koza.misumi.jp/lca/2002/09/82_3.html

  WV-2RIIの相撲用アプリケーションを開発しました.リモコンのボタンを押すとアームが押し出され,張り手の動作を行います.相手に当たった場合はアーム先端に取り付けられたヒットセンサにより検出できます.また,アームのベース下部に搭載されたRCサーボモータにより,アームは常に水平に保たれます.このアプリケーションを搭載したWV-2RIIを使用して相撲競技を行いました.


張り手アーム
MPEG 4.9 MB
相撲競技
MPEG 3.6 MB


WB-3を用いた人間とのインタラクション (WBクマダンス)

▽重量
機構重量 [kg] 1.8
全体重量 [kg] 5.6
▽アクチュエータ
原動機 DCサーボモータ
(S125-1T)
conversation


アーム部 顔と心理モデル

  当研究室で開発した超小型モーションキャプチャデバイスWB-3を用いた遠隔制御を開発しました。ヒトとロボットとのインタラクション性を高めるため,ただ前進などの操作をするだけでなく,一緒に遊ぶという要素としてダンスを提案いたしました。また、顔を搭載し、心理モデルを組み込むことで表情の変化を再現致しました。


アームモーション
MPEG 64.2 MB
表情導出
MPEG 2.9 MB


二重倒立振子の振上げ動作 (剣道)

▽重量
機構重量 [kg] 0.2
全体重量 [kg] 4.0
▽アクチュエータ
原動機 DCサーボモータ
(RDO-29B50G192A)
▽性能
第2振子エンコーダ分解能 [P/N] 500(RE30E)
conversation


振子機構のモデル化 制御原理

  二重倒立振子を開発することで竹刀機構を実現し、剣道の動作を実現いたしました。竹刀動作は第2振子の位置.速さから進行方向を決める振り上げ動作、そして安定姿勢からの角度差から補正値を算出し車輪の指令値とする倒立の安定動作という2つのフェーズから成り立っています。


二重倒立振子
MPEG 0.9 MB


インターン生によるアプリケーション作成

  • 安全機構
安全で使いやすいロボットとするために,以下の機能を実装しました.
  1. 機体が持ち上げられたことをモータ電圧と車輪速度から判別し,自動的に制御をストップします.
  2. また,車輪を僅かに回すことで,地面に置かれたことを判別し,自動的に制御を開始します.
  3. 赤外線距離センサを前後4か所に搭載し,壁に近づくとぶつかる前に停止します.

Flow chart for Miniway main control loop Flow chart for the lift-safe function


  • おもちゃロボット
RCサーボモータを使用し,4自由度の人形ロボットを搭載しました.進行方向に合わせてロボットが動きます.

概観 機構


おもちゃロボット
MPEG 8.33 MB


  • WBを用いたリモートコントロール
リモコン操作用のインターフェースとして,モーションキャプチャデバイスを使用し,直感的なコントロールを実現しました.

リモートコントロール1
MPEG 71.8 MB
リモートコントロール2
MPEG 24.4 MB

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5. イベント

倒立振子ロボットワークショップ
(2010年2月25日〜2月26日 福岡県福岡市 TNC放送会館 ロボスクエア)


  WV-2RIIをプロトタイプとした教育用ロボットキットの発売に先立ち,ロボスクエアにおいて実機を使用してのワークショップを開催しました.大学生を対象としてプログラムの書き換えやフィードバックゲインの調整実習などを行いました.



ロボティクス授業 Erasmus Mundus Master Program in Advanced Robotics (EMARO)
(2009年11月2日〜11月12日 ワルシャワ工科大学 電力航空工学科)


  ワルシャワ工科大学の招待を受けて行ったロボティクス授業の中で,WV-2Rを用いたメカトロニクス実習を行いました.内容は,WV-2Rの組み立てとフィードバックゲインの調整です.



メカトロニクス実習
(2009年2月26日〜2月28日 福岡県福岡市 TNC放送会館 ロボスクエア)


  WV-2Rの教材としての機能の確認のため,WV-2Rを用いたメカトロニクス実習をロボスクエアにて行いました.具体的には,高校生を対象としたロボットの組立実習,大学生を対象としたフィードバックゲインの調整実習などを行いました.

メカトロニクス実習
MPEG 11 MB

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6.旧型機

WV-2R

▽寸法・重量
全高 [mm] 530
重量 [kg] 3.2
▽アクチュエータ
原動機 DCサーボモータ
(RDO-37KE50G9A)
定格出力 [W] 9.2
▽コンピュータ・電装
CPU STM32F103VB 72[MHz]
バッテリ 9[V]電池
単3電池(12[V])
センサ類 ・ジャイロセンサ × 1
・加速度センサ × 1
conversation


おもり位置の変更

車輪径の変更
  製作コストをWV-1から85%低減すると共に,学習性を高めるため,おもりの位置と車輪の径を変更可能としました.これにより,機構の変更に伴って機械的特性がどのように変化するのか,また,モデルの変更に対してどのように制御側で対応するのかを学習することができます.

  WV-2Rを使ったアプリケーションとして,ライントレース,サッカー大会,webカメラによる指標追従を実践しました.また,制御パラメータの調整次第では転倒状態からの復帰が可能となっています.

ライントレース
MPEG 5.2 MB
サッカー大会
MPEG 4.7 MB
指標追従
MPEG 6.5 MB
転倒復帰
MPEG 1.0 MB


WV-2

▽寸法・重量
全高 [mm] 620
重量 [kg] 4.0
▽アクチュエータ
原動機 DCサーボモータ
定格出力 [W] 27
▽コンピュータ・電装
CPU STM32F103VB 72[MHz]
バッテリ 9[V]電池,単3電池(12[V])
センサ類 ・ジャイロセンサ × 1
・加速度センサ × 1
conversation

8の字走行
MPEG 8.7 MB
外乱
MPEG 2.1 MB

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7.謝辞

   本研究は,ロボット産業振興会議(RIDC)「平成20年度ロボット開発技術力強化事業」の委託により行われ,早稲田大学ヒューマノイド研究所および株式会社JAPAN ROBOTECHのもとで実施しています.ここに感謝の意を表します.また,STマイクロエレクトロニクス(株)から発売されているARM(STM32)を使用した本機WV-2Rは,本研究を進める過程で3D-CADソフトウェア"SolidWorks" を用いて設計しました.本ソフトウェアを提供して頂きましたソリッドワークス・ジャパン株式会社にも感謝致します.



関連ホームページ

早稲田大学ヒューマノイド研究所
株式会社JAPAN ROBOTECH
ロボット産業振興会議(RIDC)
STマイクロエレクトロニクス株式会社
ソリッドワークス・ジャパン株式会社
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