WOC-1(Waseda Omnidirectional Carrier No.1)

オープンフィールドにおけるラットの滞在傾向を決定する要因の1つとして,オープンフィールドの形状が挙げられるかと思います.そこで,オープンフィールドの形状変更を伴う実験を行うために,オープンフィールド壁面と同じ外装を装備し,高い移動能力を有する全方向移動ロボットWOC-1を開発しました.

1.駆動機構

WOC-1の駆動機構には4個のオムニホイールを使用しました.この駆動機構によりWOC-1は,全方向への移動が可能であり,任意の位置,姿勢をとる事が出来ます.

2.電源

WOC-1の電源にはWM-6同様,Li-ion電池を搭載しております.WM-6に比べ,電池容量の大きい電池を用いており,制御回路に低ドロップのレギュレータを用いているため,長時間の動作が可能となっています.

3.通信と制御

WOC-1にはマイクロコンピュ-ターdsPICとBluetooth通信モジュールが搭載されており,制御PCによって遠隔操縦されます.
ロボットの電気的構成はFig.7になっています.dsPICはBluetooth通信モジュールを介して制御PCからの指令を受信し,4個の駆動輪の回転方向と速度を制御しています.DCモータの駆動にはフルブリッジドライバを使用し,dsPICにてPWM信号を生成することにより,モータの速度を制御しています.また,WOC-1には餌供給モジューを搭載しており,このモジュールによって餌の提示が可能です.餌供給モジュールの制御用には小型のPICを用いており,PCから指令によって餌の供給を行うことが可能です.

4.特徴

WOC-1は,フィールド形状の変更を目的として開発しました.そのため,様々な形状のカバーを作成し外装の変更が可能となっています.(現在のところ正方形,長方形,この字の3種類であります.)また外装は,実験フィールド側壁と同様に木製としました.これらの外装を装着し,位置,姿勢を変化させることにより実験フィールド形状を変化させます.
また,RCサーボにより駆動される小型の餌供給装置をモジュールとして搭載可能であるため,移動する餌供給装置として用いることも可能です.

5.滞在時間制御実験

これまでの実験において,ラットはオープンフィールド4隅や壁沿いに長期滞在するという滞在傾向が強いことがされており.この結果からわれわれは,ラットは壁の周辺,特に壁に囲まれた空間での滞在を好み,オープンフィールド中央のような開けた場所での滞在を嫌うという仮説を得ました.そこで,実際に移動ロボットを用いてフィールドの形状を変化させて,ラットの滞在場所を意図したとおりに制御することで,この仮説の検証を試みました.
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Fig.1 System Configuration of WOC-1

Fig.2 WOC-1