WB system (Waseda Bioinstrumentation system)

  1. 研究目的
  2. 研究背景
  3. システム概要
  4. システムの応用
  5. これまでの研究
  6. 謝辞

1.研究目的

われわれの研究目的は,人間の全ての身体動作を客観的に計測できる携帯用のBioinstrumentation Systemを開発することです. また,動作計測装置を改善することと,決められた動作において人間の動作がどう違うのかを観測するため,訓練後に人間のパフォーマンスの向上を評価するために,人間の動作を特徴づけられるパラメータの設定を決定することも目標としています.

2.研究背景

近年,医療手術手技を向上させるための手法に関して研究開発が盛んに行われています.その一つとして,医療分野にロボット技術を導入することで既存の臨床手順を改良し,現在の臨床における問題解決を試みるという革新的なアプローチがあります.この研究によって,臨床や外科などの現場において人間を工学的な側面から理解することができ,医療手術手技において熟練者と初心者で何が違うのかだけでなく,どうして違うのかということも解明できると考えられています.

そのようなロボット技術の中でも,人間の動作を分析するために効果的な手法がモーションキャプチャです.モーションキャプチャを使用することにより人間の動作を数値データとして取得することが可能であり,さらに人間の関節運動を追跡してそれらをデジタルモデルに置換し,人間の動作を詳細に解析することも可能です.このモーションキャプチャに使用される技術としてカメラ,磁気センサ,慣性センサが一般的です.これらの技術には以下のような問題点があります.

1) カメラベースのシステムは非常に高価であり,かつ計測範囲がカメラが設置されている空間に限られてしまいます.
2)磁気センサは周囲の磁場の乱れによって精度に問題が生じやすいため,比較的低周波数での計測では解析精度が制限されてしまいます.
3)既存の慣性センサは,そのサイズは人の指に設置するには大きいため,医療手術における指先の動作などの細かな動作解析を必要とする計測対象には適さないという問題があります.

これらの問題点から,現在のシステムはいずれもMinimally Invasive Surgery(MIS),歩行分析,リハビリテーションなどのあらゆるモーションキャプチャに適したものではないと言えます.

3. システム概要 (Inertial Measurement Unit)

Fig. 1 WB-3 IMU

Fig. 1 WB-3 IMU

Fig. 2 WB-4 IMU

Fig. 2 WB-4 IMU

われわれは今までに,WB-3とWB-4という2種類の超小型姿勢計測センサの開発を行ってきました.WB-3ではIMU同士,PCとの通信や電源供給を有線で行い,WB-4ではBluetoothモジュールとリチウムバッテリをIMUと組み合わせることで, IMU同士,PCとの通信を無線で行うことが可能となっています.これらのIMUは非常に小型かつ軽量となっており,装置や器具にも全重量やバランスに作用させずに,簡単に取り付けることができます.

WB-3とWB-4はどちらも3軸の加速度,3軸のジャイロ,3軸の地磁気センサ,これらのセンサからの計測値を処理するマイクロコントローラSTM32 Cortex (STMicroelectronics)から構成されており,人間の姿勢を計測することが可能となっています.

長時間の計測が必要な実験の場合,PCから電源供給ができるWB-3を用い,大きい動作の計測の際,無線でデータ計測を行いたい場合はWB-4を用いるなど,実験の目的に応じてわれわれはこれらのセンサを使い分けています. WB-3とWB-4の詳細は写真のリンクをご覧下さい.

4. システムの応用

以下のアプリケーションに加えて今後はWB-3やWB-4を用いて,様々なアプリケーションを開発する予定です.

など

5. これまでの研究

WB-1 (2004)

WB-1R (2005)

Fig. 8 WB-2

WB-2 (2007)

Fig. 10 WB-3

WB-3 (2009)

Fig. 11 WB-3R

WB-3R (2010)

WB-3R

WB-4R (2014)

6. 謝辞

本研究は文部科学省グローバルCOEプログラム「グローバルロボットアカデミア」の支援を受けました. また本研究の一部はSTMicroelectronicsから 提供された各種センサとマイクロコントローラを用いて行われました.また旭化成せんい株式会社から提供された伸縮可能なケーブルであるロボ電を使用しました.ここに謝意を表します.また,本研究は,中国政府から大学教育発展奨励費 [2007] - 3020, S-COE ASMeW (先端科学・健康医療融合研究機構: Consolidated Research Institute for Advanced Science and Medical Care, Waseda University)からASMeW重点研究基金B #11,ASMeW重点研究基金C #11,早稲田大学から特別研究プロジェクト(No. 266740), 2008年度外国人特別研究員プログラム,科研費(19700389および20700386)の助成を受けたものであります. また本研究はヒューマノイド国際研究所「RoboCasa」の支援を受けました. 最後に,研究にご協力頂いたイタリア外務省文化交流振興局の研究・振興産業応用事業,ソリッドワークス・ジャパン(株)Okino Industries LTD, 株式会社JAPAN ROBOTECH, 大電株式会社, 早稲田大学理工学総合研究センターに感謝の意を表します.

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Last Update: 2011-11-01
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